しらすさんへの献上品
ある日、Substackを席巻しているエッセイ作家「 しらす|ひとり妄想作家 」さんが、noteのメンバーシップを開始する、という告知を拝見しました。
ほぼノリと勢いで「LPとか作りましょうか?」とコメントし、返信を待たずに勝手に作り始め、返信が来た直後に「作りました!」と返しました。
これを「押し売り」と言います。
テストに出るよ。
さて、そもそもLP(ランディングページ)とは何かをご存知ない方のために簡単にまとめると、
宣伝したい商品の情報を
1枚のWEBページにまとめて
ページ末尾で読者にアクションを促す
こんな感じです。
ちなみに最後の部分をCTA(コールトゥアクション)と呼びます。
「申し込みはこちら」とか「カートに入れる」のボタンがそれです。
そんなLPと呼ばれるWEBページを、AIと協力しながら超高速で制作した、というお話なわけですね。
具体的なタイムスケジュールで言うと、作り始めたその日のうちに、構成、デザイン、実装、修正まで進め、ほぼ公開できる状態にしてからご本人確認まで済ませ、翌日には正式に公開可能な段階まで持っていきました。
公開後はしらすさんご本人にページを共有してもらったことが後押しとなり、多くの方に見ていただけたのではないかと思います。
下記のリンクから制作実績と実際のLPが公開されているのでご興味ある方はぜひ。
「しらす食堂」も個人的におすすめなのでぜひ。
制作裏話
最初に言っておきますが、この記事は長いです。
めちゃくちゃ長いけど、とても参考になる事例でもあると思います。
覚悟して読んでください。損はさせません。
今回の制作、当然ですがAIに「LPを作って」と丸投げしただけで完成したわけではありません。
しらすさんの活動や普段の発信内容をもとに方向性をまとめ、AIによって生成されたドラフトを確認し、画像の見せ方や文章の言い回し、PCとスマートフォン表示が双方で崩れないかなどをレビュー・修正してフィードバックループを回しながら完成させています。
今回はその制作過程と共に、AIをどう使うことが効果的だったのかをまとめてみようと思います。
きっかけは「メンバーシップを紹介するページがあったら面白そう」だったこと
2026年8月現在、しらすさんは、Substackでは購読者200名を超え、noteでも高頻度で記事配信をされている新進気鋭のエッセイ作家さんです。
あまり褒めると恐縮されそうな謙虚な方ですが、個人的な推し作家さんなので褒めます。顔を紙で隠す姿が目に浮かびますね。
さて、1ファンとして活動を拝見する中で、メンバーシップを開始するという告知内容を拝見したその瞬間、しらすさん自身の魅力をひとつのページにまとめたら面白そうだと直感的に思いました。ニュータイプか?
もっと言えば、センス溢れるしらすさんの作家としての魅力を、普段の記事とは別の切り口でまとめることはできないだろうか、と、ぼくの脳内で思考が高速回転するような感覚がありました。
これはいわゆる創作者の本能というか、面白そうなアイデアが浮かんだら形にせずにはいられないというか、もはや報酬とかいいからとりあえず作ってから考えよう的な。
衝動的すぎるだろ。
要するに、正式な制作案件として、詳細な要件定義から始めたわけではない。
コメント欄で本人に「作ってもいい?」と確認し、(本人からの返信を待たずに)まずはこちらで試作してみるところから始めてしまったと。
つまり、着手時点で情報として手元にあったのは、既存のSNS投稿、プロフィール、メンバーシップの情報、記事で公開されていて掲載に使えそうな画像くらい。
一般的な制作であれば、ヒアリングを行い、掲載内容を整理し、構成案を作ってからデザインへ進む。
今回は、その辺りをすっ飛ばして情報整理からAIと一緒に進める形を取り、既成概念に囚われない方法での高速制作を実現したわけです。
しらすさんの何を伝えるページにすべきか
LPを制作する際、最初に決めるべきなのは見た目ではなく、そのページを見た人に何を感じてもらうかだと考えています。
今回のケースで言えば、noteメンバーシップの機能や特典を綺麗に並べるだけなら、たぶんそんなに難しくない。
でも、それだけだと“しらすさんらしさ”が足りない。
ぼくが作りたかったのは「メンバーシップの説明ページ」というより、
どんな作品を書く人なのか
どんな空気感で活動しているのか
メンバーになると何を楽しめるのか
そして最終的に、どこから参加できるのか
までを、しらすさん本人のキャラクターごと1枚にまとめたページでした。
要するに、情報だけではなく「この人なんか面白そう」が伝わらないと意味がない。
そこで既存の記事やプロフィール、公開されている画像、メンバーシップの情報などをAIに渡しながら、「この人を知らない人が見たとき、何があれば魅力が伝わるか」を整理していきました。
最初にビジュアルで空気感を伝え、その後にメンバーシップの紹介、活動や作品について、プロフィール、最後に参加導線。
大枠としてはそんな構成です。
こういう散らばった情報を一度ばらして、WEBページとして意味のある順番に再構成する作業はAIがかなり得意です。
大量の情報を読ませても文句を言いません。便利。
一方で、
「どの情報を一番強く見せたいか」
「この言い回しは本人っぽいか」
「このページを見終わったとき、どんな印象が残っていてほしいか」
みたいな部分は、AIに正解を聞いて決めるものではありません。
ここは作る側の仕事です。
一度、形にしてから考える
構成がある程度決まったところで、AIに実際のWEBページとして実装してもらいました。
ただ、この時点で完成形を細部まで設計していたわけではありません。
むしろ逆で、
とりあえず一回画面に出してみよう。
話はそれからだ。
くらいの感覚です。
従来のWEB制作では、
構成を決める
↓
文章を作る
↓
デザインする
↓
実装する
↓
修正する
という感じで、工程を順番に進めていくケースが多いと思います。
今回はこれをほぼ全部同時にやっています。
ページを実装してみる。
「ここちょっと違うな」と思ったら構成を変える。
画像を置いてみる。
「でかいでかいでかい」と思ったら小さくする。
文章を読んでみる。
「急に企業サイトみたいなこと言い出したな」と思ったら直す。
スマホで見る。
崩れている。
直す。
また見る。
この繰り返しです。
文字にすると非常に雑な制作工程に見えますが、実際かなり合理的です。
頭の中だけで完成形を延々と想像するより、一度画面として出してしまった方が圧倒的に判断しやすい。
AIを使うと、この「考える→試す→見る→直す」のサイクルが極端に短くなります。
今回、当日中にほぼ完成まで持っていけた一番大きな理由はここにあります。
当然、最初からいい感じにはならない
ここまで読むと、
「AIすごい!一瞬でLP完成!」
みたいな話に見えるかもしれませんが、そんな都合のいい世界ではありません。
最初に出てきたページは、あくまでドラフト。
キービジュアルがうまく表示されていなかったり、キャラクター画像が「私が主役です」と言わんばかりの巨大サイズで鎮座していたり、制作中の内部メモみたいな文章が普通に表へ出ていたりしました。
お前、それユーザーに見せる文章じゃないぞ。
スマートフォンで見ると文字組みが微妙だったり、余白が詰まっていたり、PCでは気にならなかった違和感も出てきます。
AIは「この要素をここに置いて」「こういう構成にして」といった作業を高速で処理してくれます。
でも、
「なんか圧が強い」
「ここだけ急に密度がおかしい」
「情報としては間違ってないけど、しらすさんっぽくない」
みたいな、感覚的な違和感を自動的に拾ってくれるわけではありません。
特に今回のように、作家本人や作品の空気感そのものがコンテンツになっている場合、画像はただ配置すればいいわけではない。
どこに置くのか。
どれくらい大きくするのか。
背景として見せるのか、主役として見せるのか。
それだけでページの印象はかなり変わります。
実際、最初の案からメインビジュアルの扱いを変えたり、キャラクター画像の位置やサイズを調整したり、文章をかなり修正したりしています。
ここで重要になるのが、人間側の「違和感センサー」です。
AIが作ったものを見て、
「うーん、違う」
と言える能力。
非常に曖昧ですが、たぶん今のAI制作ではかなり重要です。
そして「違う」で終わらず、
「何が違うのか」
「どちらに寄せたいのか」
まで言語化してAIへ返す。
この往復を繰り返すことで、少しずつ完成形へ近づけていきます。
実装しながら、デザインしながら、考える
今回の制作では、構成を決めてからデザインして、その後エンジニアへ渡して……という分業は当然ありません。
ぼくとAIしかいないので。
PCとスマートフォンで実際のページを確認し、気になるところを見つけたらその場でAIへ修正を依頼する。
修正されたページを見る。
別の違和感に気づく。
また直す。
その繰り返しです。
つまりAIによって速くなったのは、単純なコーディングだけではありません。
むしろ大きいのは、
思考から実物までの距離が異常に短くなったこと
だと思っています。
「こうしたら良さそう」
と思った数分後には、実際のブラウザ上でそれを確認できる。
ダメなら戻す。
別案を試す。
良ければそのまま進む。
従来なら構成・デザイン・実装の工程をまたぐたびに発生していた待ち時間が、ほぼ消えました。
だから制作そのものが、一連の思考プロセスとして繋がっていく。
これは実際にやってみるとかなり感覚が変わります。
なぜ当日中にほぼ完成できたのか
今回、当日中にほぼ公開可能なレベルまで進められた理由は、AIが全部勝手にやってくれたからではありません。
むしろぼくはずっと横から口を出しています。
面倒な熱心なディレクターですね。
ただ、
企画する
構成を考える
文章を書く
デザインする
実装する
レビューする
修正する
というそれぞれの作業の間にある「待ち」がほとんどありませんでした。
構成を考えたらそのまま画面にする。
画面を見て気づいたらその場で直す。
文章が長ければ削る。
画像が強すぎれば調整する。
別案を見たければ出してもらう。
本来は別工程として切り分けられていた作業を、一つの対話の中で連続して進められる。
今回の制作では、
ぼくが方向を決める
→ AIが形にする
→ ぼくが見る
→ AIに返す
というフィードバックループを短時間で何度も回しました。
AIによる高速制作の本質は、もしかすると「AIが速く作ってくれること」そのものではなく、このループを異常な速度で回せることなのかもしれません。
じゃあ、人間は何をやるのか
ここまでAIにやらせると、
「そこまで出来るなら人間いらなくない?」
という話になりそうですが、今回の制作含め日常的にAIをフル活用している身からすると、むしろ逆の印象を持っています。
実装作業の比重が下がるほど、人間側の判断が目立つようになるからです。
たとえば今回なら、
メンバーシップの内容を中心に見せるのか。
しらすさんの作品を中心にするのか。
本人のキャラクター性をどこまで前に出すのか。
どこまで作り込めば公開していいと判断するのか。
この文章は説明として正しいけれど、本当にしらすさんらしいのか。
画像単体では綺麗だけど、ページ全体で見たときに強すぎないか。
こういった問いに、絶対的な正解はありません。
だからAIも勝手には決められない。
いや、決めること自体はできます。
でも、それを採用するかどうかを判断するためには、結局こちら側に基準が必要になってきます。
AIが制作速度を上げてくれるほど、
何を作りたいのか
何を良しとするのか
何を違和感として拾うのか
という、人間側の感覚や判断軸が重要になる。
この辺りは、AIを使えば使うほど面白くなってくるところだと思っています。
LP制作は、もっと軽くていいのかもしれない
従来、LPを1枚作るとなると、ある程度まとまった準備や時間が必要でした。
ヒアリングして。
要件を整理して。
文章を用意して。
デザインして。
実装して。
レビューして。
修正して。
ようやく公開。
もちろん、案件の規模によっては今後もそのプロセスが必要です。
でも、すべてのLPに同じだけの重さが必要なのかというと、たぶん違う。
今回のように、
「これ、ページにしたら面白くない?」
くらいのアイデアから始めて、とりあえず形にする。
公開してみる。
反応を見る。
必要なら後から育てる。
そういうWEB制作がもっとあってもいい気がしています。
特に個人で活動している人や、小さなサービス、新しく始めた企画なんかは、最初から100点満点のサイトを数週間かけて作るより、まず80点くらいのものを高速で世に出した方が良いケースも多い。
今回もしらすさんがメンバーシップを始めるというタイミングだったからこそ、勢いを殺さずそのまま公開まで繋げられたことに意味があったと思っています。
思いついたときが作りどき。
鮮度、大事。しらすは足が速いからね。
今回は実験でもあった
今回のLP制作は、しらすさんへの献上品であると同時に、ぼく自身にとってはAIとWEB制作をどう組み合わせると一番気持ちよく作れるのかを試す実験でもありました。
結果として、
「これは普通に使える」
という感触があります。
もちろん、今回かなり勢いで進めたので、改善したいところも多々あります。
事前に確認する情報をテンプレート化したり。
公開前のレビュー項目を整理したり。
PC・スマートフォン双方の表示チェックを自動化したり。
文章や画像、CTAなどの確認項目を仕組みとして持たせたり。
この辺りを整えていけば、今回のような制作をもっと安定して、さらに短時間で回せるはずです。
そして何より今回面白かったのは、
AIが代わりにWEBサイトを作ってくれた
という感覚ではなく、
作りたいものを思いついた瞬間から、そのまま完成まで走り続けられた
という感覚の方でした。
アイデアを思いつく。
AIと話す。
形になる。
違うと思ったら直す。
気づいたら公開できる状態になっている。
数年前なら「いつか作ろう」で終わっていたようなアイデアを、その日のうちに実物へ変えられる。
そんな制作環境が、もう普通に手元にあるわけです。
たぶん今回一番伝えたいのは、
「AIを使えばLPが簡単に作れます」
という話ではありません。
面白そうだから作ってみよう、という衝動を、そのまま完成まで連れていけるようになった。
ぼくにとっては、そっちの方がずっと大きな変化でした。
…
……
ということで、しらすさん。
突然の押し売り思い付きのアイデアを受け取っていただき、本当にありがとうございました。
お代はしらすさんが大出世して「メンバーシップを始めた時にLP作ってくれたZERØっていうクリエイターがいて〜」と紹介してくれたらチャラにします。それまでは売掛金ということで。
最後まで読んでくださってありがとうございました。良ければ購読登録お願いします!
制作のご相談はこちらから。
※ブランドサイトに繋がります。




zeroさん、おはようございます😊
なんかわかる。私も以前練習で行きつけの美容院のを(勝手に)作りました。Manusで作りました。あるはずのないお客様の声とか、良い感じで入ってます(使える代物ではありませんね)。チャッピーで壁打ち。おかしいところをどうするか?とチャッピーに聞くと「AIってそうなんですよね」とまさかの第三者視点。笑いました。
あのLPも1日でできたとかすごいです。思いついたら新鮮なうちに作る。本当に原動力です🤗